「プロに勝てないなら、投資なんて意味がない?」
そんな疑問を抱いたことがある方にこそ、読んでほしい一冊があります。
私は銀行員として30年、うち10年は海外勤務を経験してきました。
金融の現場に身を置き、海外の視点からも見てきた中で、常に感じていたのは── 「個人投資家がプロと同じ土俵で戦うのは、あまりにも分が悪い」という現実です。
そんな私が、個人投資家としてインデックス投資を実践しながら読んだのが、チャールズ・エリスの名著『敗者のゲーム』。
この本は、まさに私の経験と考えを見事に言語化してくれた一冊でした。
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プロの世界は「短期」で動いている
金融機関の中にいると、投資の世界がいかに短期的な成果に支配されているかを痛感します。
年俸やボーナスは半年、長くても1年の業績で決まる。
四半期ごとの時価評価もあり、長期的な視点で投資をするインセンティブは後回しになりがち。
欧米では数年ごとの転職が当たり前。
長期的な視点で仕事をする人は少なく、組織としても長期投資に人員を割く余裕がないのかも知れません。
そんな中、AIや高速取引を駆使して、世界中の情報を一瞬で分析し、瞬時に売買を繰り返すプロたちが市場を支配している。
このような環境で、情報も分析力もスピードも劣る個人投資家が、プロに勝とうとするのは── まさに「敗者のゲーム」。
160kmの速球を投げる投手がゴロゴロいる中で、最新技術でデータ解析される。
そんな大リーグの世界で、アマチュアが勝てるわけがない。
むしろ、そうした強者たちが集う“大リーグ全体”に投資する方が、ずっと賢い。
個人投資家に残された道──インデックス投資
では、個人投資家はどうすればいいのか?
私がたどり着いた答えは、「低コストのインデックスファンドに長期で投資すること」でした。
インデックス投資は、世界中の優良企業に分散投資できる仕組みです。
特にS&P500のような指数は、世界の一流企業がしのぎを削る「ドリームチーム」。
しかも、定期的な入れ替えによって、常に優秀な企業だけが残る仕組みになっています。
そんな彼らが日々努力して稼ぎ出す利益の一部を、私たち個人投資家も享受できる。
それが、インデックス投資の最大の魅力です。
「退屈に耐える力」が成功のカギ
インデックス投資は、正直言って退屈です。
毎日チャートを見て一喜一憂するような刺激はありません。 でも、それがいいのです。
私自身、リーマンショックやコロナショックといった暴落を経験してきました。
あのとき、感情に流されて売ってしまった人たちは、回復の波に乗れず、大きな損失を抱えました。
逆に、当初の投資方針を守り、積立を続けた人は、時間とともに資産を増やしていきました。
S&P500の過去20年のリターンの大半は、たった35日間の上昇によってもたらされています。
その「稲妻が輝く瞬間」に市場にいなければ、すべての利益を逃してしまう。
だからこそ、どんなときも市場に居続けることが大切なのです。
投資は「他人との勝負」ではなく「自分との戦い」
『敗者のゲーム』を読んで改めて感じたのは、 投資とは「他人との勝負」ではなく、「自分との戦い」だということです。
自分の投資目的を明確にし、それに合った方針を立てる。
そして、どんな相場でもその方針を守り抜く。
これができるかどうかが、投資の成否を分けます。
人間は感情の生き物です。
暴落時には恐怖で売りたくなるし、上昇相場では欲が出てリスクを取りすぎてしまう。
だからこそ、最初に決めたルールを守る「仕組み」を作ることが重要なのです。
まとめ:勝とうとしないことが、勝ちにつながる
『敗者のゲーム』は、個人投資家にとっての「投資の地図」とも言える存在です。
プロの世界の現実を知り、自分の立ち位置を見極める。
そして、退屈でも確実な道を選ぶ。
私自身の経験からも、インデックス投資こそが、個人投資家にとって最も合理的で再現性の高い戦略だと確信しています。
市場に居続けること。 感情に流されないこと。 退屈に耐えること。
それが、個人投資家が「敗者のゲーム」に巻き込まれず、着実に資産を築くための唯一の道だと思います。
投資に“正解”はありません。
年齢、年収、家族構成、資産状況──人それぞれ違います。
だからこそ、自分の人生の目的に合わせて、自分に合った投資方針を見つけることが大切です。
あなたは、どんな投資スタイルを選びますか?
『敗者のゲーム』は、その答えを見つけるヒントになるかもしれません。
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