これからの投資の思考法|格差社会を生き抜く”個人投資家の武器”

書評

この本を一言でいうと、

「社会は変えられなくても、自分は変えられる。”rの世界”へ移ることが、格差時代を生き抜く最善の策だ」

著者の柴山和久氏は、財務省・マッキンゼーを経て、ロボアドバイザー「ウェルスナビ」を創設した人物。

日本に世界水準の金融インフラを届けたいという強い想いから、起業した経緯を持ちます。

自身も5つの失敗を経て辿り着いた”投資の思考法”は、50代からの資産形成にも深く刺さる内容でした。

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元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いたこれからの投資の思考法 [ 柴山 和久 ]価格:1650円
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感想(6件)

心に残ったポイント3つ

① 「r>g」の時代、個人にできることがある

フランスの経済学者トマ・ピケティが唱えた「r > g」という概念があります。

r(資本収益率)> g(経済成長率)

つまり、資産を持つ人の富は、労働で得られる富よりも速いスピードで増える。

格差は広がり続ける、という現実です。

著者はこの格差社会に対して、こう言い切ります。

「私たち一人ひとりが率先して『g』の世界から『r』の世界へと移っていけばよい」

労働収入だけで生きる「gの世界」から、資産運用で世界経済の成長を取り込む「rの世界」へ。

社会の構造を変えることは難しい。でも、自分がどちらの世界に立つかは、自分で選べる。

「長期・積立・分散」の投資を実践することは、格差に抗うための、個人にできる最も合理的な行動だと改めて感じました。

金融機関に30年勤めてきた私の実感として、「投資どころか、NISAすら始めていない同僚が多い」という著者の指摘には深く頷かされました。

過去30年のデフレと株価低迷が続いた日本では、長期投資の恩恵を体感しづらかった背景があります。

でも今、その空気は確実に変わり始めています。


② 個人投資家は、プロより有利な部分がある

「プロのファンドマネージャーに任せた方が安心では?」と思う方も多いかもしれません。

実は、長期投資においては個人投資家の方が有利な側面があると著者は言います。

プロの投資家には、様々な制約があります。短期的な運用実績を求められる。
為替リスクをヘッジするための追加コストがかかる。金融危機時には規則によって資産を売却しなければならないケースもある。

一方、個人投資家には制約がありません。

老後まで、あるいは子・孫の代まで、感情に振り回されずに「長期・積立・分散」を続けられれば、それだけでプロに勝る可能性が十分にあります。

問題は、その「感情に振り回されない」という部分です。

相場が急落すると怖くなって売りたくなる。上昇相場では乗り遅れまいと焦る。

これは人間として自然な反応ですが、投資においては大きなマイナスになります。

著者はここで、ロボアドバイザー(AI資産運用)の活用を提案します。

「人間の脳は資産運用に向いていません。感情をもたないロボアドバイザーを利用したほうが、心理的な罠を避け、うまく運用できる可能性が高くなります」

富裕層が金融のプロに資産管理を任せるように、一般の個人投資家がAIに資産運用を委ねることが当たり前になる時代は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。


③ お金は「目的」ではなく「手段」である

著者自身が語る、もうひとつの気づきが印象的でした。

財務省とマッキンゼーというエリートコースを歩み、高収入・VIP待遇を手にしながら、「幸せだと感じられない」という経験をしたと言います。

「ファーストクラスでは幸せになれない」

ギャラップ社が世界170万人を対象に行った調査でも、年収がある一定額(目安として約1,000万円)を超えると、幸福度はむしろ下がることが示されています。

著者はその経験から、こう問いかけます。

周りが決めた豊かさの基準ではなく、自分自身にとって本当に大切なものは何か。

私自身も、海外駐在の経験を通じて似たような気づきがありました。

ビジネスクラスも海外リゾートも体験したうえで、「幸せはそこにはないな」と感じるようになった。

今は、「好きな人と好きな時に好きな場所で好きなことをすること」が自分の幸せだと思っています。

そのための手段としてお金がある、という考え方です。

投資は目的ではなく、豊かな人生を生きるための手段。

この視点を持てると、長期投資を続けるモチベーションも自然と変わってきます。

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感想(6件)

この本を読んで得られる変化

  • 「r>g」の格差時代における、個人の正しい立ち位置がわかる
  • 長期・積立・分散投資の必要性が、理屈でなく腹落ちする
  • プロより個人投資家が有利な理由を理解できる
  • AIを活用した資産運用への抵抗感が薄まる
  • お金の目的を問い直すきっかけになる

こんな人におすすめ

  • NISAやiDeCoを始めたばかりで根拠を知りたい人
  • 預金中心のマインドからなかなか抜け出せない人
  • 「投資は怖い」という感情を整理したい人
  • 老後の資産形成をこれから本格的に考えたい人
  • 50代から、自分らしい豊かさを設計したい人

まとめ

社会の格差構造は、個人の力では変えられません。

でも、自分がどちらの世界に立つかは、自分で選べます。

「長期・積立・分散」という投資の原則は、難しくも複雑でもありません。

でも多くの人がそれを実践できないのは、知識より感情の問題だと著者は言います。

著者の5つの失敗を経て辿り着いた思考法は、「正しい知識」と「人間の心理の弱さへの向き合い方」をセットで教えてくれます。

お金は手段であり、目的ではない。その視点に立てたとき、投資はようやく”自分の人生のための行動”になります。

格差時代に生きる50代に、静かに寄り添ってくれる一冊です。

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