相場を読む力より、続ける力。習慣・行動・思考法を扱った本から、50代の資産形成を支える土台を考えていきます。
この本を一言でいうと
後悔は、避けるものではなく使うもの。
何を後悔するかが分かれば、
これから何をすべきかが見えてくる、という本です。
この記事では、それを50代の資産形成に当てはめます。
「もっと早く始めていれば」。
私自身が、何度も思ってきた言葉です。
著者のダニエル・ピンクは『モチベーション3.0』などで知られる作家。
世界100か国以上・2万人を超える調査をもとに、後悔を分類しました。
訳者は池村千秋氏。前回の『LIFE SHIFT』と同じ訳者です。
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心に残ったポイント3つ
① 50代は「やらなかった後悔」が2倍になる
本書で紹介されている「アメリカ後悔プロジェクト」の調査に、こんな結果があります。
50歳では、行動しなかったことへの後悔が、行動したことへの後悔の2倍に達している。
20代では、両者はほぼ同じ割合です。
ところが年齢が上がるにつれて差が開き、50代ではきれいに逆転しています。
やったことへの後悔は、やり直したり、謝ったりすれば片がつきます。
でもやらなかったことへの後悔は、片づけようがない。
だから年を重ねるほど、残り続けるのだと思います。
私にも、思い当たることはいくつもあります。
若い頃から自己投資をもっとやっておけばよかった。
歯をしっかり磨いておけばよかった。
どれも、やらなかったことばかりです。
7年ほど前、将来を考えるなかで、ひとつの実感が生まれました。
人生100年時代で寿命が延び、AIをはじめ技術の進化が加速していく。
そのなかで生涯現役で働き続けたいと思うようになり、
そのためには学び直しが欠かせないと気づきました。
それ以来、「今どういう選択をすれば、将来後悔しないか」を考えるようになりました。
👉 第12回:LIFE SHIFT|自己投資に、複利は効く
② 後悔の筆頭に挙がるのが、お金と健康だった
本書は、後悔を4つに分けています。
そのひとつが「基盤に関する後悔」。
教育、お金、健康といった、人生の土台にまつわる後悔です。
資産形成の後悔は、人の後悔の筆頭カテゴリーとして扱われている。ここに驚きました。
土台があれば、ゆとりを持って挑戦できる。これは誰もが頭では分かっていることです。
投資を続けていると、最初のうちはあまり増えません。
ところが元本が大きくなるにつれて、増え方が少しずつ加速していきます。
同じ利回りでも、積み上がった元本に対してかかるからです。
これは投資に限った話ではありません。
食事、運動、勉強、読書、日々の仕事。
小さな選択は、長い目で見れば大きな差になって返ってきます。
それでも、人はなかなか動けません。
本書は、アリとキリギリスの寓話を、
人間の認知のあり方を描いた物語としても読めると書いています。
夏のあいだ遊んでいたキリギリスは、経済学でいう「遅延価値割引」の落とし穴にはまっていた。
現在の価値を過大に、将来の価値を過小に見積もっていたのです。
このバイアスに支配されると、人は将来後悔するような判断をしてしまう。
自分の選択が雪だるま式に膨らんでいくことを、見落としてしまうのです。
この見落としは、自分自身がやってきたことでもあります。
制度は知っているのに、枠を使い切らない。
相場が落ち着くのを待っているうちに、何年も過ぎてしまう。
そして後になって、「もっと早く始めていれば」と思う。
👉 第2回:複利で伸びる1つの習慣|1%の改善を続ける
③ 後悔は、書き出すと次の一手に変わる
本書は「後悔するな」とは言いません。
後悔を次の行動に変える方法として、3つのステップを挙げています。
1.自己開示
ネガティブな経験を口に出す、文章にする。それだけで思考が整理され、満足感が高まる。
私の場合、それが100歳までの資金繰り表でした。
「好きな人と、好きな時に、好きな場所で、好きなことをする」。
この目標を達成するために作り、年ごとの目標金融資産額、収入、支出を設定しています。
目標を言葉にして思考を整理し、さらに数字に落とすことで、進むべき道が見えてきました。
2.自己への思いやり
「人は誰でも完ぺきではなく、失敗し、困難にぶつかるものだ」と考える。
そうやって、経験の影響を無力化する。
投資でも「あのとき動いていれば」と思うことはあります。
でも、それは誰にでも起こる当たり前のことだと受け止めるようにしました。
具体的には、資金繰り表の過ぎた年は非表示にしています。
今年の年初の金融資産額を出発点として、ここから先をどうするかだけを考える。
3.自己距離化
壁に止まったハエのような第三者の目線で、自分の後悔を眺める。
未来に飛んで、そこから振り返ってみる。
本書には、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスの話が出てきます。
金融機関を辞めるとき、80歳の自分が後悔しないのはどちらかを考えた。
そして、挑戦しないことこそ後悔につながると判断し、
インターネットで本を売る会社を立ち上げた。
これを真似してみました。
資金繰り表の60歳、70歳、80歳の時点にカーソルを合わせ、
そこから現在地を振り返るように眺める。
すると、今なにをすれば後悔しないか、今なにに挑戦すべきかが、はっきりしてきました。
👉 第8回:アウトプット大全|学びを結果に変える
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この本を読んで得られる変化
- 後悔を、消すものではなく使うものとして捉えられるようになる
- 「もっと早く始めていれば」を、次の一手に変えられる
- 過去の判断を責めずに、今の資産から考え直せるようになる
- 未来から現在地を眺める習慣がつく
- 先延ばししている一つが、具体的に見えてくる
こんな人におすすめ
- 40代・50代の会社員で、資産形成やキャリアに迷っている人
- 「もっと早く始めていれば」と思ったことがある人
- 投資の判断を引きずってしまう人
- 定年後に何をするか、決めかねている人
- やりたいことを先延ばしにしている自覚がある人
まとめ|振り返るから、前に進める
読み終えて残ったのは、ひとつの気づきでした。
後悔は、過去の話ではなく、未来の材料だった。
50代は、やらなかったことへの後悔が重くなる年代です。
裏を返せば、まだ行動で上書きできる時期でもあるということだと思います。
このシリーズでは13冊を通して「続ける力」を考えてきました。
続けられる人とそうでない人の差は、才能でも意志の強さでもなく、
後悔を次の一手に変えられるかどうかにあるのかもしれません。
この本は、40代から50代の会社員で、
資産形成やキャリアに悩んでいる方にこそ読んでほしい一冊です。
私もまず、資金繰り表の80歳にカーソルを合わせるところから始めます。
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