📘LIFE SHIFT|自己投資に、複利は効く

書評
※本記事にはプロモーションが含まれています
📚 シリーズ「資産形成の持久力」第12回/全14回

相場を読む力より、続ける力。習慣・行動・思考法を扱った本から、50代の資産形成を支える土台を考えていきます。

この本を一言でいうと

「教育 → 仕事 → 引退」という一本道は、100年の人生には短すぎる。

働く期間が延びるほど効いてくるのは、
お金の資産よりも、お金で買えない資産のほうだ、という本です。

この記事では、それを50代の現在地に当てはめます。

いくら貯めるかを考える前に、確かめておくことがあります。
あと何年働くのか。その間、何で稼ぐのか。

著者はロンドン・ビジネス・スクールの教授2人。
組織論のリンダ・グラットンと、経済学のアンドリュー・スコットです。

「人生100年時代」という言葉が、日本で広まるきっかけになった一冊です。

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心に残ったポイント3つ

① 親の世代の引退モデルは、もう使えない

本書には、生まれ年の違う3人が登場します。

ジャックは1945年生まれ。
エンジニアとして働き、62歳で引退し、70歳で亡くなります。
引退期間は8年。3ステージの人生で、きれいに逃げ切れた世代です。

読みながら、父を思い出しました。
ひとつの会社に60歳の定年まで勤めあげ、その後は年金で暮らす。

絵に描いたような3ステージの人生
でした。

私も7年ほど前までは、自分も同じ道を歩くのだろうと思っていました。

考えが変わったのは、平均寿命が延び、技術の進歩が速くなるのを感じたからです。

それに、祖父は農家で生涯現役のまま働き続けました。

定年という区切りのない働き方も、身近にあったのです。


2人目のジミーは1971年生まれ。今の50代は、ほぼこの世代です。

本書の試算では、ジミーが65歳で引退するには、
毎年所得の17.2%を貯蓄し続ける必要があるとされています。

この数字を、金融機関に30年勤務した目で見ると、どうか。

貯め時は、独身の頃と、子どもが小学生のうちまでだと思います。

中学以降は教育費の負担が重くなるので、
毎年17.2%を切らさずに続けるのは、正直むずかしい。

ただ、生涯を通して平均するなら、
このあたりの水準なのかもしれない、とも感じました。

貯蓄率を上げられないなら、答えはひとつしかありません。
働く期間を延ばすことです。


3人目のジェーンは1998年生まれ。
本書では、80代まで働くことになると描かれています。
子ども世代には、それが当たり前になっているかもしれません。

※リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT』をもとに筆者作成

働く期間が延びるほど、途中で学び直す時間が要る。図にすると、それがはっきりします。

資産寿命がどれだけ延びるかは、前回の記事で試算しました。

② 足りないのは、お金よりも「学び直す時間」

本書は、週末を少し長くする程度では足りないと言います。

高いスキルの仕事ほど長時間の労働が求められ、そのまま何十年も走れば燃え尽きる。

しかも多くの職種が、急速に時代遅れになっていく。

細切れの時間に知識を補充するだけでは、追いつかない。

まとまった移行期間が要る、というのが著者の主張です。

レクリエーション(娯楽)ではなく、自己のリ・クリエーション(再創造)に時間を使うようになるのだ。

余暇を「消費する」のではなく、「自分を作り直すために投資する」。

静かな言い方ですが、時間の使い方を根本からひっくり返す指摘です。

現実に照らすと、これはかなり難しい。週休二日では、まとまった学びの時間は取れません。

しかも週末も、頭のどこかで仕事のことを考えている。これが正直なところです。

もっと学習に時間を割ける働き方が要る、という指摘には素直にうなずきました。


いま、FP2級を勉強しています。

あわせて、昔に科目合格した税理士試験と実務経験、
それに英語も一度棚卸しするつもりです。AIを含めた新しい技術も学び直したい。

ゼロから何かを始めるというより、
持っているものを並べ直して、磨き直すという感覚に近いです。

③ 会社の外に、つながりはあるか

本書の核心は「無形資産」です。

長い人生を支えるのは、お金だけではないという考え方で、3つに分けられています。

種類 中身
生産性資産 仕事の成果につながるもの。知識、スキル、評判
活力資産 心身の健康と幸福。健康管理、友人関係、家族関係
変身資産 変化に対応する力。自分への理解、多様な人脈、新しい経験への開放性

自分に当てはめてみて、いちばん手薄だったのが変身資産でした。

会社員を長く続けていると、知り合いが会社の中と大学時代に偏っていきます。

新しいことを始めようにも、相談できる相手が社内にしかいない。


ブログとXを始めたのは、そこを変えたかったからです。

発信すると、いいねやリプライが返ってきます。

会社の外につながりができていく手応えは、想像以上に嬉しいものでした。

先日は投稿が出版社にリポストされ、
YouTubeでしか拝見したことのなかった方から、いいねをいただいたこともあります。

普段なら交わることのない人とつながれる。これは、続けてみるまで分かりませんでした。

変身資産は、人脈だけを指す言葉ではありません。
自分を理解していること、新しい経験に開かれていること。その3つで、ようやく変化に対応できます。

ブログを始めたこと自体が、変身資産への投資だったのだと思います。

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この本を読んで得られる変化

  • 「何歳まで働くか」を、貯蓄額とセットで考えられるようになる
  • 親世代の引退モデルをなぞらなくてよい、と思えるようになる
  • 学び直しが、余暇ではなく投資に見えてくる
  • 自分の資産を、お金以外の項目でも数えられるようになる
  • 会社の外にどれだけつながりがあるか、正直に見えてくる

こんな人におすすめ

  • 50代で、定年後の働き方をまだ決めていない人
  • 老後資金の計算をしたが、しっくりきていない人
  • 親の引退の仕方を見てきて、自分は違うと感じている人
  • 学び直したいが、時間が取れずにいる人
  • 会社以外に知り合いが少ないと感じている人

まとめ|自己投資に、複利は効く

読み終えて、いちばん強く残ったのはこれです。

自己投資で築いた資産は、相場が下がっても目減りしない。

誰にも取り崩されず、磨けば磨くほど複利が効いていきます。

ただし、置いておくだけでは増えません。

技術の進歩が速い時代では、使わない知識から先に古びていきます。

減らないのは、使い続け、磨き続けている限り
です。

小さな積み上げが時間をかけて大きくなる構造は、第2回で扱った複利とまったく同じです。

お金の複利は、利回りと期間で決まります。学びの複利は、続けるかどうかだけで決まります。

10年前の本ですが、古さは感じません。

ここに書かれていたことを今の50代が生きている、という答え合わせとして読めます。

これからは、学び直せるかどうかが大きな差を生んでいく。そんな気がしています。

私もまず、棚卸しから始めます。

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