📘投資家が「お金」よりも大切にしていること|投資とは、明るい未来をつくること

書評
📚 シリーズ「資産形成の持久力」第6回/全14回

相場を読む力より、続ける力。習慣・行動・思考法を扱った本から、50代の資産形成を支える土台を考えていきます。

この本を一言でいうと

投資とは、世の中を良くして、明るい未来をつくること

著者の藤野英人氏は、レオス・キャピタルワークスの創業者であり、ファンドマネジャー。

日本株のアクティブ運用を長年率いてきた、現役の投資家です。

その藤野氏が語る投資の目的は、リターンでも資産形成でもありません。

私の考える投資の目的はただひとつ、
「世の中を良くして、明るい未来をつくること」なんですね。

少し青臭く聞こえるかもしれません。

でも読み終えたとき、この言葉が本書のすべてを支えていると分かります。

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心に残ったポイント3つ

① 投資の目的は「明るい未来をつくること」

藤野氏は、投資を
「いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくこと」と定義します。

そしてこう続けます。会社やビジネスへの投資は「直接的に、世の中を良くすること」。

自己投資は「間接的に、自分を通して世の中を良くすること」。どちらも同じ投資だ、と。

この整理は新鮮でした。

株を買うことと、資格を取るために勉強することが、同じ枠組みで語られている。

どちらも「今のエネルギーを未来に預ける」行為だからです。

そして受け取る「お返し」も、お金だけではありません。

未来からのお返し = プロダクト × 感謝 × 成長 × 経験 × お金

投資先がパンの工場ならパンができる。受験勉強なら合格通知が来る。

目に見える成果がまず返ってきます。

でもそれだけではなく、感謝されること、成長できること、経験を積めることも、大きなお返しなのだと藤野氏は言います。

② エネルギーの方程式──最後に「運」が掛かる

本書でもっとも印象に残ったのが、この式です。

エネルギー = 情熱 × 行動 × 時間 × 回数 × 知恵 × 体力 × お金 × 運

注目すべきは、すべてが掛け算であること。そして最後に「運」が掛かっていることです。

掛け算ということは、どれかがゼロなら全体がゼロになる。

運だけは自分でコントロールできません。

では、どうすればいいのか。藤野氏の答えはこうです。

自分のできることを情熱・行動・時間・回数・知恵・体力・お金のすべてをかけて一生懸命やったうえで、勝っても傲慢にならず、負けても腐らないマインドが持てるようになれる。そこが重要なのです。

これは、金融機関に30年勤務した経験から見ても、深くうなずける指摘です。

投資の世界にいると、成果の一部が運であることを認められない人をよく見ます。

相場が良かっただけなのに自分の実力だと信じ込み、次はもっと大きく賭けて失敗する。

逆に、運悪く高値掴みしただけで「自分には向いていない」と市場を去ってしまう。

運の存在を認めることは、諦めではありません。

運以外の部分に集中するための、現実的な態度です。

私自身、毎日Wikipediaのランダム読みと読書でインプットし、Xとブログで発信を続けています。

この式でいえば、情熱・行動・時間・回数・知恵・体力を注いでいる状態です。

でも、読んでもらえるか、届くかどうかは「運」です。

運がゼロなら、掛け算の答えもゼロになる。

それでも続けているのは、世界中にごまんとある情報のうち、自分が届けた情報が、それを必要とする方に届き、少しでも幸せになるのであれば

——それはこの上ない喜びだと感じるからです。

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③ 経済とは「経世済民」──世を経め、民を済う

本書には、日本語の語源をたどる一節があります。

「経済」という言葉は、中国の東晋時代の書物に出てくる「経世済民」が由来です。

意味は「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」

経済は、お金を通してみんなの幸せを考えること
——このことを、ぜひみなさんは覚えておいてください。

経済ニュースを見ていると、経済とは数字とグラフの世界のように思えてきます。

でも語源をたどれば、経済とは人を救うための仕組みでした。

海外駐在の10年で、この感覚を実地で学んだ場面が何度もありました。

金融の仕事は、突き詰めれば「お金が必要な場所に、お金を届けること」です。

国が違えば、必要とされる形も、届け方も変わる。でも本質は同じでした。

 

資産形成も同じだと思います。

自分の資産を増やす行為は、突き詰めれば社会のどこかにお金を預け、そこが成長する手助けをしているということです。

私たちが投資信託を通じて世界の企業に投資するとき、その資金は誰かの雇用を生み、誰かの生活を支えています。

投資は、静かな社会参加でもあるのです。


この本を読んで得られる変化

  • 投資を「お金儲け」ではなく「社会との関わり」として捉え直せる
  • 自己投資と金融投資が、同じ枠組みで理解できるようになる
  • 成果に「運」が含まれることを、素直に認められるようになる
  • 結果が出ない時期にも、腐らずに続けられる
  • お金以外の「お返し」に気づけるようになる

こんな人におすすめ

  • 投資に少し後ろめたさを感じたことがある人
  • リターンばかり追いかけて疲れてしまった人
  • 自己投資と資産形成の両方に取り組んでいる人
  • 「何のために増やすのか」を考え直したい50代
  • 子や孫に投資の意味を伝えたい人

まとめ|お金は、手段のひとつにすぎない

労働で得たお金を投資に回し、不労収入を増やし、資産の増加速度を上げていく。

そこには確かに「運」があります。

上司や同僚、与えられた仕事や職場環境。相場の浮き沈みや投資先の巡り合わせ。

自分では選べないものが、結果を左右します。

それでも、運以外に注いだエネルギーは嘘をつきません。

結果として、労働対価や投資利益としてのお金が残る。

さまざまな経験を積める。自分自身の成長につながる。

そして、そこで生まれたお金で家族や友人との時間をつくり、周りから感謝される。

みんなが幸せになり、それが自分自身の幸せになる。

「世の中を良くして、明るい未来をつくること」。

そのために、「いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただく」。

この好循環を生むために、人は誰でも何らかの形で社会に貢献しているのだと思います。

消費者としても、投資家としても、労働者としても。

私の人生の目標は「好きな人と、好きな時に、好きな場所で、好きなことをする」ことです。

本書を読んで、その目標とこの考え方が地続きだと気づきました。

お金は、そのための手段のひとつにすぎません。

もっと家族や友人との時間を大切に生きたい。そう思わせてくれる一冊でした。

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