相場を読む力より、続ける力。習慣・行動・思考法を扱った本から、50代の資産形成を支える土台を考えていきます。
この本を一言でいうと
「投資とは、世の中を良くして、明るい未来をつくること」
著者の藤野英人氏は、レオス・キャピタルワークスの創業者であり、ファンドマネジャー。
日本株のアクティブ運用を長年率いてきた、現役の投資家です。
その藤野氏が語る投資の目的は、リターンでも資産形成でもありません。
私の考える投資の目的はただひとつ、
「世の中を良くして、明るい未来をつくること」なんですね。
少し青臭く聞こえるかもしれません。
でも読み終えたとき、この言葉が本書のすべてを支えていると分かります。
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心に残ったポイント3つ
① 投資の目的は「明るい未来をつくること」
藤野氏は、投資を
「いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくこと」と定義します。
そしてこう続けます。会社やビジネスへの投資は「直接的に、世の中を良くすること」。
自己投資は「間接的に、自分を通して世の中を良くすること」。どちらも同じ投資だ、と。
この整理は新鮮でした。
株を買うことと、資格を取るために勉強することが、同じ枠組みで語られている。
どちらも「今のエネルギーを未来に預ける」行為だからです。
そして受け取る「お返し」も、お金だけではありません。
未来からのお返し = プロダクト × 感謝 × 成長 × 経験 × お金
投資先がパンの工場ならパンができる。受験勉強なら合格通知が来る。
目に見える成果がまず返ってきます。
でもそれだけではなく、感謝されること、成長できること、経験を積めることも、大きなお返しなのだと藤野氏は言います。
② エネルギーの方程式──最後に「運」が掛かる
本書でもっとも印象に残ったのが、この式です。
エネルギー = 情熱 × 行動 × 時間 × 回数 × 知恵 × 体力 × お金 × 運
注目すべきは、すべてが掛け算であること。そして最後に「運」が掛かっていることです。
掛け算ということは、どれかがゼロなら全体がゼロになる。
運だけは自分でコントロールできません。
では、どうすればいいのか。藤野氏の答えはこうです。
自分のできることを情熱・行動・時間・回数・知恵・体力・お金のすべてをかけて一生懸命やったうえで、勝っても傲慢にならず、負けても腐らないマインドが持てるようになれる。そこが重要なのです。
これは、金融機関に30年勤務した経験から見ても、深くうなずける指摘です。
投資の世界にいると、成果の一部が運であることを認められない人をよく見ます。
相場が良かっただけなのに自分の実力だと信じ込み、次はもっと大きく賭けて失敗する。
逆に、運悪く高値掴みしただけで「自分には向いていない」と市場を去ってしまう。
運の存在を認めることは、諦めではありません。
運以外の部分に集中するための、現実的な態度です。
私自身、毎日Wikipediaのランダム読みと読書でインプットし、Xとブログで発信を続けています。
この式でいえば、情熱・行動・時間・回数・知恵・体力を注いでいる状態です。
でも、読んでもらえるか、届くかどうかは「運」です。
運がゼロなら、掛け算の答えもゼロになる。
それでも続けているのは、世界中にごまんとある情報のうち、自分が届けた情報が、それを必要とする方に届き、少しでも幸せになるのであれば
——それはこの上ない喜びだと感じるからです。
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③ 経済とは「経世済民」──世を経め、民を済う
本書には、日本語の語源をたどる一節があります。
「経済」という言葉は、中国の東晋時代の書物に出てくる「経世済民」が由来です。
意味は「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」。
経済は、お金を通してみんなの幸せを考えること
——このことを、ぜひみなさんは覚えておいてください。
経済ニュースを見ていると、経済とは数字とグラフの世界のように思えてきます。
でも語源をたどれば、経済とは人を救うための仕組みでした。
海外駐在の10年で、この感覚を実地で学んだ場面が何度もありました。
金融の仕事は、突き詰めれば「お金が必要な場所に、お金を届けること」です。
国が違えば、必要とされる形も、届け方も変わる。でも本質は同じでした。
資産形成も同じだと思います。
自分の資産を増やす行為は、突き詰めれば社会のどこかにお金を預け、そこが成長する手助けをしているということです。
私たちが投資信託を通じて世界の企業に投資するとき、その資金は誰かの雇用を生み、誰かの生活を支えています。
投資は、静かな社会参加でもあるのです。
👉 あわせて読みたい:投資家の思考法|奥野一成(同じく現役ファンドマネジャーの投資哲学です)
この本を読んで得られる変化
- 投資を「お金儲け」ではなく「社会との関わり」として捉え直せる
- 自己投資と金融投資が、同じ枠組みで理解できるようになる
- 成果に「運」が含まれることを、素直に認められるようになる
- 結果が出ない時期にも、腐らずに続けられる
- お金以外の「お返し」に気づけるようになる
こんな人におすすめ
- 投資に少し後ろめたさを感じたことがある人
- リターンばかり追いかけて疲れてしまった人
- 自己投資と資産形成の両方に取り組んでいる人
- 「何のために増やすのか」を考え直したい50代
- 子や孫に投資の意味を伝えたい人
まとめ|お金は、手段のひとつにすぎない
労働で得たお金を投資に回し、不労収入を増やし、資産の増加速度を上げていく。
そこには確かに「運」があります。
上司や同僚、与えられた仕事や職場環境。相場の浮き沈みや投資先の巡り合わせ。
自分では選べないものが、結果を左右します。
それでも、運以外に注いだエネルギーは嘘をつきません。
結果として、労働対価や投資利益としてのお金が残る。
さまざまな経験を積める。自分自身の成長につながる。
そして、そこで生まれたお金で家族や友人との時間をつくり、周りから感謝される。
みんなが幸せになり、それが自分自身の幸せになる。
「世の中を良くして、明るい未来をつくること」。
そのために、「いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただく」。
この好循環を生むために、人は誰でも何らかの形で社会に貢献しているのだと思います。
消費者としても、投資家としても、労働者としても。
私の人生の目標は「好きな人と、好きな時に、好きな場所で、好きなことをする」ことです。
本書を読んで、その目標とこの考え方が地続きだと気づきました。
お金は、そのための手段のひとつにすぎません。
もっと家族や友人との時間を大切に生きたい。そう思わせてくれる一冊でした。
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