はじめに:なぜ米国の経済指標を見るべきなのか
「S&P500に積立してるけど、なんで急に下がったの?」
「ドル円が一晩で2円も動いた……何があったの?」
そんな経験、ありませんか。
その"犯人"の多くは、米国の経済指標です。
世界の株式時価総額の、およそ6割は米国株。
米国の景気やインフレの数字ひとつで、日本株もドル円も、私たちの投資信託の基準価額も一緒に動きます。
つまり米国の指標は、日本に住む個人投資家にとっても「他人事ではない数字」なのです。
とはいえ、経済指標ってとにかく数が多い。
CPI、PCE、ISM、NFP……。
アルファベットの略語だらけで、正直どれを見ればいいのか分からない、というのが本音ではないでしょうか。
私も最初はそうでした。
そこでこの記事では、次の流れでまとめました。
- 毎月チェックしたい主要15指標の一覧(保存版)
- 8月の発表スケジュール(日付・曜日つき)
- 今月ならではの注目ポイント
- 初心者はここだけ見ればOKな5指標
ブックマークして、毎月の相場チェックにお使いください。
📊 米国の主要経済指標一覧(保存版)
まずは、毎月チェックしておきたい15の指標です。
この表だけブックマークしておけば、ニュースで略語が出てきても迷いません。
| 指標名 | 英語名 | 発表頻度 | 注目ポイント | 市場への 影響 |
|---|---|---|---|---|
| GDP (国内総生産) |
Gross Domestic Product | 四半期 (速報・改定・確報) |
前期比年率。 景気全体の"体温計" |
★★★★☆ |
| PCEデフレーター | PCE Price Index | 毎月 | FRBが最重視するインフレ指標。 特にコアPCE |
★★★★★ |
| CPI (消費者物価指数) |
Consumer Price Index | 毎月 | 市場が最も反応するインフレ指標。 コアCPI前年比 |
★★★★★ |
| 雇用統計 (NFP) |
Employment Situation / Nonfarm Payrolls |
毎月 (原則第1金曜) |
非農業部門雇用者数・失業率・ 平均時給 |
★★★★★ |
| ADP雇用統計 | ADP National Employment Report |
毎月 | 民間版の雇用統計。 NFPの"前哨戦" |
★★★☆☆ |
| ISM製造業 景気指数 |
ISM Manufacturing PMI | 毎月 (第1営業日) |
50が好不況の分かれ目 | ★★★★☆ |
| ISM非製造業 景気指数 |
ISM Services PMI | 毎月 (第3営業日) |
米国経済の約7割を占める サービス業の体温 |
★★★★☆ |
| 小売売上高 | Advance Retail Sales | 毎月 | 米国GDPの約7割は個人消費。 消費の勢いを見る |
★★★★☆ |
| 住宅着工件数 | Housing Starts / New Residential Construction |
毎月 | 金利感応度が高く、 景気の先行指標 |
★★★☆☆ |
| 中古住宅 販売件数 |
Existing Home Sales | 毎月 | 米住宅取引の約9割を占める。 住宅市場の実態 |
★★★☆☆ |
| FOMC 政策金利 |
FOMC Rate Decision | 年8回 | 利上げ・利下げの決定。 声明文の文言も重要 |
★★★★★ |
| FOMC 議事要旨 |
FOMC Minutes | 会合の約3週間後 | 議論の中身。 委員の意見の割れ方に注目 |
★★★★☆ |
| ミシガン大学 消費者信頼感指数 |
University of Michigan Consumer Sentiment |
毎月 (速報・確報) |
消費者マインドと 期待インフレ率 |
★★★☆☆ |
| 耐久財受注 | Durable Goods Orders | 毎月 | 企業の設備投資意欲。 コア資本財受注が本命 |
★★★☆☆ |
| 新規失業保険 申請件数 |
Initial Jobless Claims | 毎週木曜 | 雇用の"リアルタイム指標"。 急増は要警戒 |
★★★☆☆ |
📅 今月の米国経済指標カレンダー(2026年8月版)
🎉 8月に米国市場の休場日はありません。
次の祝日は9月7日のレイバーデーです。フルに営業日がある月になります。
🏛 8月にFOMC会合はありません。
次回FOMCは9月15日〜16日。経済見通し(SEP)とドットプロットが公表される回です。
ただし、8月19日にFOMC議事要旨、8月27日〜29日にジャクソンホール会議があります。
金融政策のヒントは、今月も十分に出てきます。
| 日付 | 指標名 | 英語名 | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| 8/3(月) | ISM製造業景気指数 (7月) |
ISM Manufacturing PMI | 月初一発目。 50割れが続くかどうか |
| 8/3(月) | 建設支出 (6月) |
Construction Spending | 住宅・インフラ投資の動向 |
| 8/4(火) | 貿易収支 (6月) |
International Trade in Goods and Services |
関税政策の影響が 出やすい指標 |
| 8/4(火) | JOLTS 求人件数 (6月) |
Job Openings and Labor Turnover Survey |
求人の減少ペース =労働需給の緩み具合 |
| 8/5(水) | ADP雇用統計 (7月) |
ADP National Employment Report |
2日後のNFPの"前哨戦" |
| 8/5(水) | ISM非製造業景気指数 (7月) |
ISM Services PMI | 米経済の主役サービス業。 景況感と価格指数 |
| 8/6(木) | 新規失業保険申請件数 | Initial Jobless Claims | 毎週木曜の定点観測 |
| 8/6(木) | 労働生産性・単位労働コスト (4-6月期・速報) |
Productivity and Costs (P) | 賃金インフレ圧力を測る |
| 8/7(金) | 雇用統計 (7月) |
Employment Situation | 🔴今月最重要級。 NFP・失業率・平均時給 |
| 8/11(火) | 中古住宅販売件数 (6月分) |
Existing Home Sales | 高金利下での住宅需要 |
| 8/12(水) | CPI 消費者物価指数 (7月) |
Consumer Price Index | 🔴最注目。 コアCPI前年比の鈍化が続くか |
| 8/13(木) | PPI 生産者物価指数 (7月) |
Producer Price Index | CPIの"川上"。 PCE予想の材料にもなる |
| 8/13(木) | 新規失業保険申請件数 | Initial Jobless Claims | 週次 |
| 8/14(金) | 小売売上高 (7月・速報) |
Advance Retail Sales | 消費が減速していないかを確認 |
| 8/14(金) | ミシガン大消費者信頼感 (8月・速報) |
Michigan Consumer Sentiment (P) |
期待インフレ率に注目 |
| 8/14(金) | 企業在庫 (6月) |
Business Inventories | 在庫調整局面かどうか |
| 8/17(月) | NY連銀製造業景気指数 (8月) |
Empire State Manufacturing Survey |
8月分の景況感 トップバッター |
| 8/18(火) | 住宅着工件数・建設許可件数 (7月) |
New Residential Construction |
金利敏感セクターの体温 |
| 8/18(火) | 鉱工業生産・設備稼働率 (7月) |
Industrial Production | 製造業の実体データ |
| 8/18(火) | 輸出入物価指数 (7月) |
Import and Export Price Indexes |
関税・ドル相場の 物価転嫁を見る |
| 8/19(水) | FOMC議事要旨 (7/28-29会合分) |
FOMC Minutes | 🔴9月利下げ有無のヒント。 意見の割れ方に注目 |
| 8/20(木) | フィラデルフィア連銀景況指数 (8月) |
Philadelphia Fed Manufacturing Survey |
地区連銀サーベイの代表格 |
| 8/20(木) | 新規失業保険申請件数 | Initial Jobless Claims | 週次 |
| 8/25(火) | 消費者信頼感指数 (8月) |
Conference Board Consumer Confidence |
雇用の"入手しやすさ"の 項目が要チェック |
| 8/25(火) | 新築住宅販売件数 (7月) |
New Residential Sales | 住宅市場の在庫と価格 |
| 8/26(水) | PCEデフレーター(7月) 個人所得/個人消費支出 |
Personal Income and Outlays |
🔴FRBが最重視する インフレ指標 |
| 8/26(水) | GDP (4-6月期・改定値) |
GDP (Second Estimate), Q2 2026 |
速報値からの 上方/下方修正 |
| 8/26(水) | 耐久財受注 (7月・速報) |
Advance Durable Goods Orders |
企業の設備投資マインド |
| 8/27(木) | 新規失業保険申請件数 | Initial Jobless Claims | 週次 |
| 8/27(木) 〜29(土) |
ジャクソンホール会議 | Jackson Hole Economic Symposium |
🔴議長講演が9月FOMCの 地ならしになることも |
| 8/28(金) | ミシガン大消費者信頼感 (8月・確報) |
Michigan Consumer Sentiment (F) |
速報からの修正幅 |
| 8/31(月) | ダラス連銀製造業指数 (8月) |
Dallas Fed Manufacturing Survey |
月末の締めくくり |
🔑 2026年8月の特別注目ポイント
① 8月19日「FOMC議事要旨」──9月利下げの本音が透ける日
8月にFOMC会合はありません。
次回は9月15日〜16日。
経済見通し(SEP)とドットプロットが公表される、"大きい回"です。
だからこそ、その3週間前にあたる8月19日のFOMC議事要旨(7月28-29日会合分)が重要になります。
声明文は短くて、建前が多い。
でも議事要旨には、こんな生々しさが残っています。
- 何人の委員が利下げに前向きだったか
- インフレ再燃をどれくらい警戒しているか
9月に向けた市場の織り込みが、この日を境に大きく動くことは珍しくありません。
② 8月26日「PCE × GDP改定値」──今月最大のダブルヘッダー
今月最大の"密集日"が、8月26日(水)です。
- PCEデフレーター(7月分)
= FRBが最重視するインフレ指標 - GDP 4-6月期・改定値
= 4月末〜6月の景気の答え合わせ - 耐久財受注(7月)
= 企業の投資意欲
この3本が、同じ朝8時30分(米東部時間)に出ます。
日本時間だと夜21時30分。
ドル円と米国株が一気に動きやすい時間帯です。
この日は無理にポジションを取らない。
それも、ひとつの立派な選択肢だと思います。
なお、2026年は政府機関閉鎖の影響で、統計の発表スケジュールが例年よりズレています。
「いつも月末金曜だったPCEが、今月は水曜になっている」といった変則があるので、カレンダーで都度確認するのが安全です。
③ 8月27日〜29日「ジャクソンホール会議」──夏の最大イベント
カンザスシティ連銀が主催する年次シンポジウム。
今年は8月27日〜29日に開催されます。
2026年のテーマは「金融イノベーション:決済と政策への影響」。
歴代のFRB議長が、ここで政策転換を示唆してきた"伝統芸"があります。
議長講演の一言で相場が急変することも珍しくありません。
夏枯れで市場参加者が少ない時期だけに、値動きが荒くなりやすい。
その点も、頭の片隅に入れておきたいところです。
🎯 特に重要な5指標(初心者はここだけでOK)
指標を全部追うのは無理ですし、その必要もありません。
まずは、この5つだけ。
- PCEデフレーター(8/26)
FRBが政策判断に使う"本命"のインフレ指標。コアPCEの前年比を見る。 - 雇用統計(NFP)(8/7)
米国経済の心臓部。雇用が崩れれば利下げ、強すぎればインフレ警戒。 - CPI(消費者物価指数)(8/12)
市場が最も瞬間的に反応する指標。発表直後の値動きが一番大きい。 - GDP(8/26・改定値)
景気全体の答え合わせ。四半期に一度、方向感を確認する。 - ISM(製造業8/3・非製造業8/5)
月初に出る速報性の高い景況感。50が分かれ目、とだけ覚えればOK。
この5つを押さえておけば、「なぜ今日相場が動いたのか」の8割は説明がつきます。
📚 もっと深く学びたい方へ:おすすめ書籍
経済指標の「名前」は知っていても、
「なぜその数字が重要なのか」「どう読めばいいのか」まで理解できていますか?
当ブログでも書評を紹介した『米国経済指標の見方・読み方・生かし方』は、まさにそこを丁寧に解説してくれる一冊です。
雇用統計・CPI・FOMC…
ニュースで聞き流していた経済指標が、読んで初めて"点"が"線"になります。
長期インデックス投資家でも、経済を知ることで投資がもっと豊かになりますよ。
👉 書評ブログはこちら:『米国経済指標の見方・読み方・生かし方』を読んでみた
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🧭 まとめ
2026年8月は、FOMC会合のない"谷間の月"です。
しかしその分、こんな材料が並びます。
- 8月7日 雇用統計
- 8月12日 CPI
- 8月19日 FOMC議事要旨
- 8月26日 PCE+GDP改定値
- 8月27日〜29日 ジャクソンホール
これらが、9月15日〜16日のFOMCに向けた織り込みを、一段ずつ進めていきます。
言い換えれば、8月の数字の積み重ねが、そのまま9月の金融政策の答えにつながっていくということです。
私たち50代の個人投資家にとって大切なのは、指標のたびに一喜一憂して売買することではありません。
「今、米国経済はどっちを向いているのか」を大づかみで把握しておくこと。
それだけで十分だと、私は思っています。
8月は夏枯れで薄商いになりやすく、ちょっとした材料でも値動きが荒れがちです。
カレンダーを手元に置いて、大きなイベントの日は無理をしない。
それだけでも、資産運用の安定感はぐっと増すはずです。
今月も、落ち着いていきましょう。
※ 発表日は予告なく変更される場合があります。
最新情報は各機関の公式サイト(BLS・BEA・FRB等)でご確認ください。

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