📘人生後半の戦略書|後半戦は、別のルールで戦う

書評
※本記事にはプロモーションが含まれています
📚 シリーズ「資産形成の持久力」第10回/全14回

相場を読む力より、続ける力。習慣・行動・思考法を扱った本から、50代の資産形成を支える土台を考えていきます。

この本を一言でいうと

「人生の後半戦は、前半とは別の力で戦う」

会社員が50代にさしかかると、これからの生き方を考えるようになります。

本書は、その問いに対して「知能」という切り口から指針を示してくれる一冊です。


先に断っておくと、著者はハーバード大学の教授で、
本書は「人生の前半である程度成功を収めた人」に向けて書かれています。

私のような一般の会社員とは、温度差を感じる箇所も正直あります。

それでも、50代の会社員に進路のヒントを与えてくれる内容でした。

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心に残ったポイント3つ

① 落ちていく力に、しがみついていないか

著者は、長年率いてきたシンクタンクの会長を退いたときの感覚を、
こう表現しています。

職業人生を手放すことは、職業的な死である。生まれ変わった先は不確かだ。

考えるな、飛べ。著者はそう書きます。


金融機関に30年勤務した経験から言うと、この感覚は決して特別なものではありません。

50代半ばで役職定年を迎える。
出向するか、そのまま残っても年下が上司になり、給料は右肩下がりになっていく。

知力も体力もまだ若手には負けないつもりで、
急速に進化するAIによる仕事の変化に必死についていく。

それでも新しいシステムが導入されるたびに、引退勧告を突きつけられたような気持ちになる。

就職氷河期に社会に出て、長いデフレのなかでベースアップをほとんど経験しないまま、
教育費と住居費が最も重くのしかかる時期を迎える。

そこへ年功序列の崩壊が重なり、年下に抜かれていく。

それでも必死にしがみつく。そんな時代を生きてきました。


著者が想定する「成功者」とは違うかもしれません。

ただ、この時代を必死に生き抜いたという意味では、
この世代は全員が成功者だと私は思っています。

幼いころから何らかの組織に属して生きてきた人間にとって、
会社を辞めることは集団から外れることであり、不確かな世界に放り出される感覚に近い。

安定収入を失う恐れも当然あります。

それでも、年金が視野に入ったという安心感のもとで、
生涯現役で働き続けるために、定年のある組織から勇気を出して降りる。

そういう選択もあるはずです。

本書は、そうした岐路に立つ人にヒントをくれます。

② 結晶性知能──50代から伸びる力がある

本書の中心にあるのが、

人には2種類の知能があり、ピークを迎える時期が違うという考え方です。

流動性知能は、推論力、柔軟な思考力、目新しい問題を解く力を指します。

ゼロから新しいアイデアを生み出して問題を解決する能力、
と言い換えてもいいでしょう。

ピークは20〜30代です。

結晶性知能は、過去に学んで蓄えた知識を活用する能力です。

知識の蓄積に依存するため、50代、60代と年齢を重ねるほど向上していきます。

※アーサー・C・ブルックス『人生後半の戦略書』をもとに作成(50代の帯は筆者による)

会社員として評価されるのは、たいてい流動性知能のほうです。

処理の速さ、量、新しい課題への対応力。若いころはそこで勝負できます。

ところが、その力は落ちていく。

落ちていく力にしがみついている限り、苦しさは増していきます。

ここで著者が示すのが、第2の曲線である結晶性知能へ乗り換えるという発想です。

衰えを受け入れる話ではなく、戦う土俵を変える話だと私は受け取りました。


私は昔から数字を見るのが好きで、
「100歳までの資金繰り表」を半分趣味のようにほぼ毎日眺めています。

金融機関に30年勤務し、海外駐在も10年経験しました。
税理士試験では簿記論と財務諸表論に科目合格しています。

本業とインデックス投資、家計管理、生活習慣の見直しを、
30年コツコツ続けてきました。

その経験を統合し、言葉にして人に伝える。

このブログを始めたこと自体が、結晶性知能の使い方だったのかもしれません。

③ 資産形成にも「第2の曲線」がある

この乗り換えは、資産形成にも同じ構造があると思っています。

資産形成期(貯める・増やす)から、取り崩し期(守る・使う)へ。

50代は、まさにその転換点にいます。

増やすことに最適化したポートフォリオを、いつまでも持ち続けていいのか。

この問いは、避けて通れません。


私自身、これまでインデックス投資一本でやってきました。

今も軸はインデックス投資のままですが、個人向け国債で守りを固め、
高配当株投信を加えて、定期的に配当を受け取れる形に少しずつ変えています。

100歳までの資金繰り表を眺めながら、
知らないうちに第2の曲線へ移ろうとしていたのかもしれません。

前回の『DIE WITH ZERO』で触れたように、
将来の必要額を確定させておくと、安心して現金化できるようになります。

そうして初めて、今しかできないことにお金を使えるようになる。

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この本を読んで得られる変化

  • 衰えを「終わり」ではなく「乗り換えの合図」として受け取れるようになる
  • 自分の強みが、速さから蓄積へ移りつつあることに気づく
  • キャリアの選択肢が、会社に残るか辞めるかの二択でなくなる
  • 資産形成の局面が変わりつつあることを、自分ごととして考えられる
  • 後半戦を「守り」ではなく「別の戦い方」として設計できる

こんな人におすすめ

  • 50代で、役職定年や出向が視野に入ってきた会社員
  • 若手との差を感じはじめて、焦りがある人
  • 定年後の働き方を、そろそろ具体的に考えたい人
  • 資産形成期から取り崩し期への切り替えを意識しはじめた人
  • 20代〜40代で、キャリアの終わりを一度も想像したことがない人

まとめ|後半戦は、別のルールで戦う

50代にとって、これまで築いてきたキャリアを変えることは、相当な勇気がいります。

それでも、衰えていく部分と、これから輝く部分を冷静に見極めて、別のルールで戦う。

その大切さを、本書は教えてくれます。


20代から40代の方も、いずれ50代になります。

私もそうでしたが、若いころは会社員生活が永遠に続くような錯覚に陥ります。

けれど、いずれ終わりは来ます。

ここで書いたことを頭の片隅に置いておいてもらえれば、
将来のキャリア設計を考えるときのヒントになるかもしれません。

あなた方には、十分に長い考える時間があります。

後半戦は、別のルールで戦う。

そういう選択肢があると知っておくことが、豊かな人生を歩むきっかけになればと思います。


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※引用:アーサー・C・ブルックス『人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法』(木村千里 訳/SBクリエイティブ)

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