イシューからはじめよ|解くべき問いを、先に決める

書評
※本記事にはプロモーションが含まれています
📚 シリーズ「資産形成の持久力」第7回/全14回

相場を読む力より、続ける力。習慣・行動・思考法を扱った本から、50代の資産形成を支える土台を考えていきます。

この本を一言でいうと

「解くべき問いを見極めることが、努力の量より先に来る」

やみくもに手を動かす前に、何を解くべきかを決める。
それだけでやるべきことは100分の1になる、と著者は言います。

この記事では、それを50代の資産形成に当てはめます。
積立額を増やすか、銘柄を見直すか。その前に、決めるべき問いがあります。

著者の安宅和人氏は、マッキンゼー、ヤフーのCSOを経て、現在は慶應義塾大学教授。
研究とビジネスの両方を知る人です。

▼本はこちら


心に残ったポイント3つ

① 「犬の道」を走っていないか

本書の冒頭に、こんな言葉が引かれています。

一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんてごまんとある。ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでいたら、本当に大切なことをやるひまがないうちに一生が終ってしまうんですよ。

利根川進(生物学者、1987年ノーベル生理学・医学賞受賞)

読んだ瞬間、これは50代の資産形成そのものだと思いました。

人生は、何かを成し遂げるにはあまりにも短い。

残り時間が見えてきた50代なら、なおさらです。

安宅氏は、仕事の価値を2つの軸で整理します。

バリューのマトリクス|イシュー度と解の質の4象限
※安宅和人『イシューからはじめよ[改訂版]』をもとに作成(右上以外の3マスの呼称は筆者による)

縦軸が解の質。答えの精度です。

横軸がイシュー度。そもそも、その問いに答えを出す必要があるのか。

バリューのある仕事は、右上の1マスにしかない。

そして安宅氏は、

イシュー度の低い問題に対して解の質だけを上げていく道を「犬の道」と呼び、

絶対に通るなと言い切ります。

犬の道|量をこなしてもバリューのある仕事にはたどり着かない
※安宅和人『イシューからはじめよ[改訂版]』をもとに作成

量をこなせばいつか右上にたどり着ける

——その感覚こそが間違いだ、と。

これを資産形成に置き換えると、こう見えてきます。

軸 資産形成でいうと
解の質
(多くの人が努力する場所)
銘柄選び、買うタイミング、手数料0.01%の比較、新NISAの枠の使い方
イシュー度
(そもそもの問い)
自分はいくら必要なのか。いつまでに。何のために増やすのか

多くの人は「犬の道」を走っています。

手段を精緻にすることに時間をかけ、そもそもの問いを立てていない。

前回の『エッセンシャル思考』が「99%を捨てる」と説いていたのと、きれいに重なります。

捨てるためには、何が本質かを見極めていなければならない。

順番は、いつも見極めが先です。

② 「悩む」と「考える」は違う

安宅氏は、この2つを明確に分けます。

悩む=「答えが出ない」という前提のもとに、頭を動かすフリをすること

考える=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に頭を動かすこと

これを読んで、思い当たることがありました。

相場が好調なときに買い増すべきか。暴落したら損切りすべきか。ここが底値か。

いくら考えても、将来の株価は誰にも分かりません。

つまり答えが出ない前提で頭を使っている。

考えているのではなく、悩んでいるだけです。

本書には、こんな整理もあります。

「問題」の広がり|本当に取り組むべきイシューは約1%
※安宅和人『イシューからはじめよ[改訂版]』をもとに作成

世の中で「問題」と言われているもののうち、

今、本当に答えを出すべきで、かつ答えを出す手段があるものは、せいぜい1%。

株価予想は、まさに「答えを出す手段がない」側にあります。

であれば、そこに頭と時間を使うのをやめる。

そして、長期的な世界経済の成長に賭けて、淡々と積立を続ける。

これが答えの出る問いへの、合理的な向き合い方です。

第5回の『THINK AGAIN』で、

暴落時の「よく考えた結果」は、恐怖が分析の顔をしているだけだと書きました。

同じ系譜の話です。

相場が下がって「どうしよう」と思っている時間は、

たいてい考えているのではなく、悩んでいる。

📚 この本を読んでみたい方はこちら

③ 一次情報を死守する

安宅氏は、考えるための出発点として一次情報に触れることを挙げます。

現場に行き、自分の目で見て、自分で感じる。

誰かがまとめた情報から入ってはいけない、と。

金融機関に30年勤務してきて、これは繰り返し学んだことでした。

要約されたレポートだけを読んで判断した案件は、たいてい後から前提が違っていたと分かります。

逆に、決算資料そのものを自分で開き、数字の並びを追った案件は、判断を間違えても理由が説明できました。

海外駐在の10年でも、同じでした。

日本で読む「あの国はこうだ」という解説と、現地で自分の目で見た景色は、しばしば別物でした。

では、投資における一次情報とは何か。私はこう考えています。

  • 日米当局が公表する経済指標(雇用統計、CPI、GDPなど)
  • FRBのFOMC声明・議事要旨、議長の記者会見
  • 日銀の金融政策決定会合の主な意見、総裁の記者会見
  • 企業の決算短信、有価証券報告書

SNSやYouTubeにあるのは、その二次情報・三次情報です。

誰かの解釈が乗り、都合よく切り取られ、再生数のために強い言葉へ変換されている。

一次情報は、正直に言えば退屈です。PDFで、文字が多く、結論も書いていない。

それでも、判断を他人に預けないためには、ここに戻るしかないと思っています。


この本を読んで得られる変化

  • 努力を始める前に「そもそもこれは解くべき問いか」と立ち止まれる
  • 情報を集める前に、答えを出すべき問いを言葉にできる
  • 「悩んでいる時間」と「考えている時間」を区別できる
  • 相場のノイズに使う時間が減る
  • 一次情報にあたる習慣がつく

こんな人におすすめ

  • 忙しく働いているのに、成果が出ている実感がない人
  • 投資情報を追いかけることに疲れている人
  • 銘柄選びや手数料の比較に時間をかけすぎていると感じる人
  • 仕事でも資産形成でも、判断の「型」がほしい人
  • 残り時間を意識しはじめた50代

まとめ|50代の資産形成における「イシュー」とは何か

私にとっての資産形成のイシューは、はっきりしています。

「好きな人と、好きな時に、好きな場所で、好きなことをする」

この人生の目標を達成するために、必要なお金を貯めること。それが私のイシューです。

この問いのために、100歳までの資金繰り表を作りました。

いつ、いくら必要になるのかを年ごとに書き出し、そこから逆算して計画を立て、実践してきました。

投資は、その計画に沿って長期のインデックス投資を中心に続け、それなりの資産を築いてきました。

最近は、退職後の安定した現金収入を目的に、高配当株の投資信託も始めています。

株や為替が将来どうなるか、誰にも正解は分かりません。

であれば、そこに頭と時間を使うより、淡々と積立を続けることが目標達成の最適解だと考えています。

環境は人それぞれなので、投資方針も人それぞれでいいと思います。

大切なのは、一人ひとりの「イシュー」が何かを見極め、答えの出る問いの質を上げていくこと。

それが何より重要だと、この本を読んで改めて思いました。

みなさんにとって、資産形成の目標は何ですか。

そのための投資方針は、どのように考えていますか。

一緒に考えていきましょう。そして、みんなで幸せになっていきましょう。

🔗 詳細はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました